投資ファンドの流動性リスクについて
こんにちは、いなかのです。
今回は投資ファンドに伴うリスクについてです。
ファンドには、価格変動リスク、為替変動リスク、信用リスクなど様々なリスクが伴いますが、その中でもあまり気に掛けることのない流動性リスクについて見ていきたいと思います。
流動性リスクとは?
流動性リスクとは、「売買が極端に少なくなることで取引が成立せず、売りたいときに売れない可能性がある」ということです。
例えば、企業の不祥事などによる上場廃止が原因で、その企業の株式の出来高が極端に減少し、値がつかず売却できないという事態が起こることがあります。
上場廃止になってもその企業が倒産しないかぎり、配当を受け取る権利や株主議決権なども消滅しません。しかし上場廃止になれば市場を通じた株式の売買ができなくなるので、投資家はあわててその株を売ろうとして、売り注文が殺到するため値が付きづらくなります。
出所:SMBC日興証券
上記の説明は個別株に向けた流動性リスクの説明になります。
投資信託・ETFも同じように常に流動性リスクに晒されています。
あなたが流動性の低い投資信託の売買を行う際、受給と供給量が少ないため、希望する時期に希望する金額で希望する量の売買ができなくなります。
保有する投資信託の価格が下がり続けていても、市場での流動性が低いために売却したくても売却できないといった事がおきます。
流動性リスクが高い・高まる要因(株式)
流動性リスクが高い先
流動性リスクが高い傾向にある株式やファンドは一般的に、人気がなく知名度も低い銘柄であることが多いです。
当然ながら、市場に出回っている取引量が少ないために流動性リスクが起こる可能性があります
これらは米国市場のような先進国市場ではなく、アジアや南米のような新興国市場に多い傾向にあります。
流動性リスクが高まる要因(株式)
流動性リスクが高まる要因として、株を発行している企業に大きな問題が発生したときです
例えば、虚偽記載や粉飾決算といった不祥事の発覚で、上場廃止となる可能性が高まったとします。その企業が上場廃止となれば、配当を受け取る権利は保持されますが、市場を通した株の売買ができなくなります。
そのため、投資家は誰よりも早く株を売りたいので、取引所には売り注文が殺到しますが、不祥事を起こした企業の株を買いたいという買い手がいないため、値がつきにくくなるわけです。
※上場廃止が決まるとその企業の株は「整理ポスト」という所に移されるみたいです。その後におよそ1ヵ月ぐらいで上場廃止なるので、それまでに取引を終えないといけないみたいです。
勿論、複数の銘柄で構成される投資信託にはこのような株式の上場廃止リスクをカバーする効果があります。
が、多少の影響はあると考えていいでしょう。
ファンドはトレンドによる流動性リスクに気を付けたい
投資信託で気を付けたい市場動向は、トレンドの転換です。
現在、コロナ禍の中でグロース株とりわけハイテク株がトレンドになっています。
基本的にトレンドになったものに資金が流入し、取引市場の売買が活発化します。
この1年間でハイテク株ETFのQQQ(厳密にはハイテク専門ETFではない)には莫大な資金が流入しており、このQQQを欲する投資家は後を立たず、取引市場はまさにオークション会場のような熱を帯びています。
一方でトレンドでなくなったものからは資金の流出(現金化)という動きが見られます。
今でいうとバリュー株や、エネルギーセクターでしょうか。
トレンドでなくなった銘柄は投資家からあまり目を向けられなくなり、買い・売り注文も自然と少なくなっていきます。
そうすると、ファンドの資金不足かつ流動性が損なわれ、投資家の換金要求に応じられなくなる可能性が出てくるわけです。
例えば、数十年前にはブラジル市場はどんどん成長していくとされ、一時期金融機関からブラジルファンドの販売が殺到しましたが、今では価格が落ちに落ち、資金の流入よりもはるかに流出が目だつようになっています。
そのような中では売買も思うようにはいかないでしょう。
流動性リスクが高い=ハイリターンということではない
勿論、新興国市場のような流動性が高くなりやすい市場のリターンが高い時期はあります。
が少なくともここ数十年では流動性リスクが低いとされる米国市場のリターンが頭抜きんでています。
市場に流通している量が少ない→価値の見直しが入る→価格が跳ねる
といったこともありえますが、予め流動性リスクの高い先へ投資をする際はリスクを踏まえておきましょう。
出来高からも流動性リスクを確認できる
出来高とは成立した売買の数です。
これはSBI証券のSPYDの取引ページです。
青で囲った部分が出来高、売買が成立したグラフになります。
「M」ミリオンのMになります。1Mは1百万を意味します。
SPYDの流動性リスクの低さが分かります。
1本抜きんでているグラフがあります。ちょうどコロナショックの3月頃になりますね。
SPYDが一番価格が暴落した時です。
今まで好調だったSPYDは売りが殺到しました。その結果がグラフに表れています。
ただ、SPYDは人気の高いETFであったためこの時でも買い手が多くいました。
そのため売り手も売却に困っていないはずです。
1.以前と比較して出来高が少なくなっている。
2・出来高が極端に少ない日が出てきている。
等明らかに依然と比べ違った動きをしだしたら、流動性リスクが高まっている可能性があるので注意したいです。
最後に
個別株やよほど特殊なファンドに投資をしていなければ、流動性リスクは気にしなくてもいいとは思います。
少なくとも投資家ブロガーさんがポートフォリオのコアとして挙げてくださっている銘柄においては、余ほどの事が起きない限りは流動性リスクを気にする必要はないと思ってます。
とはいえ、流動性リスクという概念があるということも気にしてみると投資先を選ぶのがまた楽しくなるので、たまに気にしてみてもいいかもしれません。
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