トラッキングエラーから分かるベンチマークとの乖離
後二か月で今年も終わると思うと時間の流れの早さに驚きますね。
こんにちは、いなかのです。
今回は、投資信託を購入する際、確認しておきたい「トラッキングエラー」について記事にしたいと思います。
特に指数連動を目指して運用を行うインデックスファンドにとって重要な指標になります。
トラッキングエラーとは?
トラッキングエラーとは、ポートフォリオのリターンとベンチマークのリターンとの乖離の事を指します。
このトラッキングエラーの数値が大きいほど、ポートフォリオの動きがベンチマークから乖離していたことを示すことになります。
そのため、S&P500のような指数連動を目指すインデックスファンドのトラッキングエラーは数値が小さければ小さいほど良いとされ、ベンチマークとのリターンの差が小さいことを表します。
このトラッキングエラーは三菱UFJ信託銀行のレポートによると、トラッキングエラーが2%だった場合、その投資信託の収益率は68%前後の確率でベンチマークの±2%の範囲に収まるとのことです。
トラッキングエラー発生要因
ポートフォリオ構成のための売買コスト
指数への連動を目指すインデックスファンド(パッシブファンドとも言う)はベンチマークとする指数に合わせるように株式を売買してポートフォリオを作成していきます。
この時の株式の売買に取引コストが発生しており、その分がインデックスファンドの運用成績から引かれます。
ベンチマーク自体はは計算上の数値なので取引コストはゼロです。そのため、売買による取引コストが増えれば触れるほどトラッキングエラーの数値が大きくなると言えます。
ポートフォリオ構成のための銘柄選定ルール
極端な話になりますが、インデックスファンドがベンチマークと差のない運用成績をしようと思ったら、ベンチマークと同じ銘柄を同じ保有比率で選べば済む話になります。
ところが、投資市場には売買ルールなるものがあり、100株が一般的な売買単位ですが、中には1000株のモノがあったりするみたいです。
中には条件によっては保有が禁止されているものがあったりし、これらの差があればあるほどベンチマークとの差が大きくなりトラッキングエラーの数値として表れてきます。
ファンドからの資金流出入対策
ファンドは投資家からの売買に迅速な対応を取るために余分な株式を保有しておく必要がありこの分がベンチマークとの差として表れます。
例えば、私が保有している投資信託を売却しようと思ったら、ファンド側は私のために解約資金を用意する必要があります。
スムーズに解約資金を準備できればよいのですが、制約によってそれがままならないことがあります。
そのため、最初から少し多めに株を売却し現金を用意したり、追加で株を売って解約金の足しにしたりするので、一時的にベンチマークから乖離したポートフォリオになることがあります。
SBI証券でのトラッキングエラー確認
インデックスファンド
一枚目の緑の線で引いた所がトラッキングエラーの項目になります。
これはSBI証券公式サイトの「SBI-SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」の指標画像になります。
トラッキングエラーは投資信託においては運用成果を表す指標としても見ることができ、1%の100分の1で表記されています。
1年のところだけ数字が大きくなっているので2枚目のトータルリターン図を見てみると、SBI-SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドの方がファンドが属するカテゴリの中で、平均を上回るリターン
を出していることが分かりました。
この投資信託はS&P500指数に連動するETF【VOO】を直接買い付けしている投資信託なのでいかにS&P500(VOO)と乖離することなく連動するかが重要であり
そのため今後もトラッキングエラーの数値に注目しておきたい投資信託ですね。
アクティブファンド
インデックスファンドはベンチマークと連動するパフォーマンスを目指すファンドということで、トラッキングエラーの数値は小さいほうがいいとされました。
ではここで、投資のインデックスを上回ることを目標にしているアクティブ運用ファンドはどうでしょうか?
そうです、アクティブ運用の場合トラッキングエラーは大きい方が良いとされます。
※ただしその分下げ幅も大きいということになる点には注意したいです。
一般的なアクティブファンドで3%以上、集中投資(テーマ型等)のファンドなら5-7%程度のトラッキング・エラーが一つの目安になります。
米国ETFのパフォーマンス確認
この画像はステートストリート公式サイトのS&P500をベンチマークとする【SPY】のトータルリターンです。
「基準価格」部分と「S&P500 Index」部分のリターン率があまりにもかけ離れているようであれば、
S&P500指数と連動するパフォーマンスを目指すETFにも関わらずS&P500と異なる動きをしていると考えることができるので、
ETF購入の際はこのトータルリターンのパフォーマンスを一度見てから検討するとよいと思います。
まとめ
1.トラッキングエラーは、ポートフォリオのリターンとベンチマークのリターンとの乖離の事
2.トラッキングエラー発生要因は、「売買コスト」「銘柄選定」「資金流出入」
3.インデックスファンドは数値が小さく、アクティブファンドは大きい方が良いとされる
やはりインデックスファンドに投資している以上は、成るべくベンチマークとの差が無いに越したことはありません。
トラッキングエラー項目だけではそのファンドの全てを知ることは出来ませんが、一つの購入参考指標になるのは間違いないかと思いますので、たま~にトラッキングエラーやトータルリターンの比較値を見るといいと思います。
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